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厳粛、そして心晴れやかな卒業式でした。 2013年03月01日(金)17時58分

本日は高校の卒業式でした。
学園の卒業式は厳粛そのものです。拍手などはないために、静かな中に粛々と式は進行していきます。一見、淡々とした空気に支配されているように見えます。しかし、私は壇上に上がり、生徒たちの目を見たときに何とも言えないエネルギーを感じました。達成した者だけが放つ充実感があちこちに揺らめき、彼らを見守り育てた人たちの思いがそれらを優しく包み込んでいたように思いました。
以下は、その時の祝辞です。

ただいまご紹介にあずかりました、平安会会長木脇和政です。
本日は517名の諸君、卒業誠におめでとうございます。
ご出席いただいた保護者の皆さま、ご子女のご卒業誠におめでとうございます。
また、この3年間お導きを頂いた燧土校長先生を初め教職員の皆さま、保護者の一員としまして深く感謝を申しあげます。ありがとうございました。大変お世話になりました。

さて、517名の諸君。実は私もここに君たちと同じ生徒手帳を持っています。自分の子供に進級の時にもらったものですから、ちょっと古いんですが、これを私はいつも会社に行くときなど、自分の鞄に入れて持ち歩いていました。学園の行事などがコンパクトにまとめられているので、保護者会の役員として重宝したというのがあります。しかし、それ以上に私はこの見開きの1ページ目に書いてある3つの大切が大人である自分にとってはより大切なことであるなと言う思いでいつも携行していました。君たちは、もう何度も何度も聞かされていることでしょう。そうです、ことばを大切に、じかんを大切に、そしていのちを大切にという平安の三つの大切です。君たち、この三つの大切は卒業してからも一生大切なものだと私は思います。

ことばを大切にする人は、その言葉によって、多くの人に愛されるでしょう。言葉を大切にすると、多くの人が君を愛してくれます。君たち自身も多くの友人や先生方のことばによって支えられてきたのではないでしょうか。これからもそうです。
じかんを大切にする人は、その大切にする気持ちによって、多くの人に信頼されるでしょう。多くの人が君を信頼してくれます。これからもそうです。
そして、いのちを大切にする人は、…。かけがえのない人になります。たった一つしかないはかない命を大切にする人は、かけがえのない人たちです。
ちょっと後ろを振り返ってみてください。そうです、今、後ろから君たちを見守っている人たちがそうです。君たちの命を大切に見守り、育んでくれたかけがえのない人たちです。

君たちが、この世に誕生したのは1994年、或いは1995年でしょう。君たちが誕生して間もなくか、或いはお母さんのお腹にいるときに阪神、淡路の大震災がありました。
あと10日後は3月11日ですから、あの東日本大震災から丸2年ですが、私たちは、あの時、命のはかなさを知りました。そしてだからこそ命の大切さを教えられました。
神戸の震災の日、君たちはもちろん覚えていないでしょうが、お父さん方や、お母さん方はみなさんとてもよく覚えておられると思います。生まれたばかりの赤ちゃんを横にして寝ていたところに突然の大きな揺れでした。午前5時台でしたから、まだ寝ていた人も多く、冬でしたから辺りは真っ暗でした。
生まれたばかりの赤ん坊を見ながら、或いはお腹のこどもを抱きしめながら、揺れがおさまるのを待ちました。
それから、数時間後、夜が明けて、テレビに映った神戸の町は信じられない光景でした。
これが、同じ日本のしかも神戸という町で起きていることが信じられませんでした。
10日後の東日本大震災ででもそうですが、私たちがあのことで悟ったのは、人間のちっぽけさだったと思います。人間の無力さだったと思います。しかし、その後の復興した神戸を見るとどうでしょうか。私は、人間の力強さを今感じます。
それから、18年という時間が経ち、君たちは卒業の時を迎えました。
保護者の皆さん、私たちの記憶にあるあの小さな命。神戸の震災の日、暗闇の中で駆け寄り抱きしめた小さな命は、いつの間にか体も心も成長し、今、もうすでに私たちを超えようとしています。そして、新たな環境のもとで、今、力強く羽ばたいていこうとしています。彼、彼女たちが、大きな夢をつかみ命を紡いでいく後ろ姿を応援していきましょう。
何とも、何とも嬉しい、喜ばしい、いのち万歳と叫びたくなる、今日この日です。いま、羽ばたく君たち、本日は卒業誠におめでとう。

平成24年度平安会会長 木脇和政