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平成24(2012)年度 始業式(中学) 式辞 2012年04月09日(月)09時55分

2012/04/09 中学始業式 学校長式辞

 みなさん、おはようございます。
 3月23日の終業式のあと、全体としては春休みに入ったわけですが、その後も、勉強をしに登校していた人、クラブ活動で登校したり、合宿や遠征に参加していた人、いずれにしましても慌ただしい束の間の春休みだったと思います。高校の方では、フェンシング・卓球・柔道・剣道・チアダンスの5クラブが選抜大会や全国大会に出場しました。特に選抜大会では、フェンシング部が北京オリンピック銀メダリストの太田雄貴以来9年ぶり2度目の全国制覇を成し遂げてくれました。栄冠を勝ち取ったフェンシング部を心から称えたいと思います。おめでとうございます。
 さて、本日より平成24年(2012)年度がスタートいたします。今春67名の新入生を迎えて中学生が150名ということになります。先日の4月5日、平成24年度の入学式の際、私が式辞でお話しましたEQのことを踏まえて、たまたま、先日、読んだ本に書かれていたことを紹介し、お話ししたいと思います。
 今からずいぶん前の話ですが、アメリカでおもしろい調査がされたそうです。
4歳児数十人を前に、その一人一人の前にマシュマロを2個ずつ置いて、「おじさんが戻るまでは、決してマシュマロを食べてはいけないよ。もし、どうしても食べたくなったら1個だけは食べてもいいよ。」と言って、そのおじさんは外出しました。そして、そのおじさんは30分後に戻ってきました。おじさんが戻る時間は解りませんし、あくまでも、食べてはいけないことが強調されていたとはいえ4歳児の6割~7割くらいが、全く手をつけていなかったのです。そして、1個だけ食べた子ども達は、全ておじさんが出て行った直後に食べてしまっていたみたいです。
 実は、その調査をした4歳児数十人の10年後、20年後を追跡調査してみたのです。そうすると、意外な事実が解りました。マシュマロに全く手をつけなかった者は、学生時代も何をするにつけても中心的存在で、社会に出てからもある一定のポストについて、つまり、役職についてパリパリやっていたのです。ところが、おじさんが出て行った直後に、マシュマロを1個食べた者は、学生時代にはいずれも友人関係が上手くいかず、社会に出ても定職に就けない者がほとんどだったのです。
 たかだか数十人の調査ですので、確かなことは言えませんが、この調査で見えてくることがあります。「三つ子の魂百まで。」「雀百まで踊り忘れず」とかいう言葉がありますが、幼い頃に身についた性格や習慣は年をとっても変わらないとか忘れないという意味です。つまり、4歳の時に「我慢」が身についていた人は、その後も、色々な場面で「我慢」する術を知っていたのではないでしょうか。
 この「我慢」が、入学式で私がお話しましたEQのことと繋がってくるのです。EQとは「こころの知能指数」でしたね。EQのEは英語のEmotionalで“情緒”や“感情”のことで“こころ”のことだと言いましたね。
 私たち人間には「煩悩」といって、百八つの欲望があるといわれています。その中で、入学式でも紹介したように、3つの最も悪い心の状態を、貪欲(とんよく)・瞋恚(しんに)・愚痴(ぐち)と言って三毒の煩(ぼん)悩(のう)と言うのですよ、と説明しました。あれもこれも手に入れたいと貪り欲する心、あの人が腹立つ、この人が腹立つといういかりの心、他人のことをあれやこれやとブツブツ愚痴る心、いずれも、自己中心の考え、自分のことだけに執着する心から生ずるもので、そこには一つも「我慢」というものがないのです。私たちの言葉と行動は、すべて心の有り様(よう)ですから、望みが思い通りに叶わなくても、腹立つことがあっても、気に入らないことがあっても、「我慢」して、自分の心をしっかりとコントロールできなければならないのです。この心の有り様を、みんなが意識して日々の生活を送れば、本当にすばらしい人間関係や環境が築けるはずです。
 言いかえると「我慢」できる心をつくることが、実はEQを高めているのであり、人間力を高め、学力向上に繋がるのです。
 まず、しっかりと大きな声で「おはようございます」の挨拶から始まって、日々の生活の中で常にみなさん一人一人が「我慢」の心を持って友達と接することを、この一年間の目標にして、行動してください。これで私の式辞といたします。