HEIAN BLOG 校長 BLOG

記事一覧

平成28(2016)年度 前期始業式(高校) 2016年04月11日(月)10時17分

学校長式辞

 みなさん、おはようございます。
 3月9日の終業式のあと、全体としては春休みに入ったわけですが、選抜特進と一貫選抜のみなさんは、ドラゴンゼミ春期講習や勉強合宿が行われました。その間、ご承知の通り硬式野球部が第88回選抜大会でベスト4まで勝ち上がりましたが、準決勝戦で奈良の智辯学園に最終回逆転サヨナラ負けを喫して、甲子園99勝で戦いを終えました。88回大会は智辯学園の初優勝で幕を閉じました。平安の甲子園100勝は夏までお預けです。
 また、同じく選抜大会や全国大会に出場されましたフェンシング・卓球・チアダンス・陸上・ゴルフ・競技かるたの出場選手も全国の強豪との対戦、たいへんお疲れ様でした。この大会では、どのクラブもよく頑張りましたがあと少し奮わずということで、インターハイならびに夏の各大会での活躍を願っているところであります。いずれにしましても慌ただしい束の間の春休みだったと思います。
 さて、本日より平成28年(2016)年度がスタートいたします。今春456名の新入生を迎えて高校生が1350名ということになります。また、終業式でも触れましたが、本年5月21日「龍谷大平安」は満140歳となります。その開校記念日を皮切りに全ての学校行事は140周年の記念行事となります。そして、11月12日(土)、ご門主様のご臨席を賜り、記念式典を挙行いたします。みなさんにも何かとご協力をお願いすることとなりますが、何とぞ宜しくお願いします。この記念すべき年、学校行事なども色々と趣向を凝らしていただき、特別な年と位置づけ、活気溢れる龍谷大平安の1年間であることを心より願っています。
 それでは、私の式辞は、本年2016(平成28)年、本校が創立140周年を迎えるにあたり『建学の精神』を広く深く伝えたいとの願いのもとに作成しました「平安の願い“三つの大切”」から「ことばを大切にⅡ」という高校生向けの文章の内容を少しご紹介いたします。

 「南か北か、どちらが暖かいですか?」
 南が暖かいと答えたいところですが、北が暖かいと言う人がいたら、あなたならどうしますか。
 「南が暖かいに決まっているじゃないか。そんなことも知らないのか」
 そうした厳しい言葉を発してしまうかもしれません。そもそも日本は北半球にありますので、赤道に近づくほど気温は高くなり、南が暖かいことは正しいでしょう。
 しかし、南半球に住む人はおそらく北が暖かいと答えます。赤道は北の方角にあるからです。したがって、この「正しさ」は北半球に住む人たちだけのものであって、場所や立場によって変わるのです。
 正しいと思って言ったが、強い口調で言ったために相手を追い詰めて気まずくなってしまった。親切のつもりで言ったことがおせっかいだった。などなど、良かれと思って発した一言で相手を困らせることはよくあります。言葉に関するトラブルは絶えません。
 実は、その原因の1つは自分が正しいと思い込むことなのです。すこし考えてみましょう。
 仏教では正しいことであっても自分の立場にこだわることは、愚かなことだとされます。もしそれが受け入れられなければいらだった口調になったり、立場にこだわるあまり不用意に主張をぶつけてしまい、相手との関係を悪くさせることがあります。結果、苦悩を生み出すことになるからです。引っ込みがつかず「ごめん」の一言が言えなければ、ますます関係が悪くなり自らの心を悩ますことにもなりかねません。
 問題なのは、私たち人間が自分ではその愚かさになかなか気づけないことです。詩人の吉野弘さんが次のような一節を書かれています。

 ただしいことを言うときは、少しひかえめにするほうがいい。
 ただしいことを言うときは、相手を傷つけやすいものだと、気づいているほうがいい。(『祝婚歌』)

 ここでは正しいことを言うとき、相手を傷つけてしまうかもしれないと自覚することが大切だと述べられます。
 仏さまの教えは鏡にたとえられます。教えを通して、自分のありのままの姿が明らかになるからです。自分のあり方を学ぶことで、相手を思いやる心を育み、人との関係を良好に保つことにもつながるのです。「建学の精神」を通して「ことばを大切に」できる人へとお育てをいただくことで、心豊かな学校生活を送ることができるのです。

 とこのように記しております。どうか、心が喜ぶ素敵な言葉を使ってください。優しい思いやり溢れる言葉を、口にしてください。言葉には、自分を幸せに導く素晴らしい力があります。それが「ことば・じかん・いのちを大切に」と申しております龍谷大平安の願いでもあります。
 ご本尊であります、阿弥陀如来(南無阿弥陀仏)は、常に私たちを照らしてくださっています。そんな中で、私たちは心の持ち方、感情を落ち着け、情緒を常に安定させ、「素直な心」と「謙虚な心」、そんな、心のありようを意識して、おかげさまで~ありがとう“感謝”、の心を持って日々の生活を送ってください。
今年度の始まりにあたり、このことをお願いして、式辞といたします。