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平成29(2017)年度 龍谷大学付属平安高等学校(2・3年生) 前期始業式 2017年04月10日(月)11時56分

学校長式辞

 みなさん、おはようございます。
 3月10日の終業式のあと、全体としては春休みに入ったわけですが、選抜特進と一貫選抜のみなさんは、ドラゴンゼミ春期講習や勉強合宿が行われました。その間、ご承知の通り、選抜大会や全国大会に出場されましたフェンシング・卓球・チアダンス・柔道・ゴルフの出場選手も全国の強豪との対戦、たいへんお疲れ様でした。この大会では、どのクラブもよく頑張りましたがあと少し奮わずということで、インターハイならびに夏の各大会での活躍を願っているところであります。
 それと、東日本大震災の募金活動を本校の中高生徒会執行部とインターアクトクラブが中心になり、3月10日(金)~12日(日)の3日間、京都駅前を中心として実施してくれました。多くの方々のご支援によって、総額は236,180円の義援金をお寄せ頂きました。この活動を通じて、あらためて人の温かさに触れたことと思います。そして、こうした継続した支援の必要性も感じ取ってくれたと思っています。今後も微力ながら東北の復興支援に協力していきましょう。本当にありがとうございました。いずれにしましても慌ただしい束の間の春休みだったと思います。
 さて、本日より平成29年(2017)年度がスタートいたします。今春401名の新入生を迎えて高校生が1323名ということになります。
 それでは、私の式辞は、高校の入学式で新入生にお話いたしました内容を紹介します。つい先日、一冊の本を頂戴しました。「『目的が一番、目標が二番』と記されており、こころを磨く、メンタルトレーニングについて、書き出されています。
 メンタル・トレーニングでは、最初に「夢のような目標」を考え、その次に「最低限度の目標」を決め、そこから五十年後、三十年後、十年後、五年後、四、三、二、一年後、さらに半年後、今月、今週、今日の目標まで落としてくることが大事であると書かれています。つまり、何でも長期的に物事を考えて、その上で、今から向かう方向性を考える必要があるというのです。
 大切なことは、「ゴールを決める」ということです。私たちはとかく、今を何とかしようとばかり思い、小手先の変化ばかりを追い求め、うまくいくかいかないかは時の運に任せているように思います。そして、いつも「こんなに頑張っているのに、なんでうまいこといかないんだ」と口癖のように言っています。
 みなさんにもわかりやすい具体例が記されていました。
 たとえば、みなさんは「旅行に行くときに、まず何を決めるでしょうか?」「行き先」ですね。
「行き先を決めなかったらスタートからどこに行っていいかわからないですよね。その次は?」「いつ行くか」ということです。
「一緒に行く人の予定とかも確認しなければなりませんし、泊まるところも予約しないといけません。さらにその次は何を決めるのかというと「交通手段でしょうね」
「これが方法です。お金のことも考えて、できるだけ安く行く手段としては、バスを使うかもしれません。また、日程がなくて少しでも早く着きたいと思えば、新幹線や飛行機を利用するかもしれません」
「さて、今の話というのは、結論、目標が決まらないと何も決まらないということです。どこのホテルを予約するのか、バスなのか、電車なのか、予算はどれくらいなのか?これらは全て、目標があるからできることです。」
 では次に「この旅行は、誰と行くか?」ということです。未成年のみなさんの場合は「家族」ということになると思いますが、
「かりに、みなさんが成人した大人だとして、何の制限もなく旅に行けるとしましょう。場所を宮城県にします。さて、みなさんは、どういう目的でそこに行く可能性がありますか?」
 色々考えられますが「仕事での出張、友だちと旅行、新婚旅行もあるかもしれませんし、ボランティアとして行きたいと思う人もいるかもしれません」
「ということは、何をしに行くかで、旅行がずいぶん変わってきます。仕事として行くのか、観光としていくのか、ボランティアとして行くのか。『宮城県に行く』という目標は同じなのですが、目的が違うだけで、また交通手段や日程なども変わってくるということです」
「そうすると、何のためにそれをするのかという目的が、一番大切だということになります。クラブ活動で大会で優勝したいと思ったとしましょう。これは目標です。そうすると、どんな手段を使ってでも、勝てば良いという勝利至上主義に陥りがちです。
 勝負事ですから、勝たなければ意味がないと考えるのも確かなことです。しかし、本当の意味での価値は、優勝した後、後輩が『先輩みたいなチームになりたいです』という憧れを抱いてくれたり、今まで応援してくれた人が、涙を流して喜んでくれたり、そういうところに優勝の価値があるのではないでしょうか。それが、本当の意味での部活を頑張る目的だと思います。だから目的が一番で、目標が二番なんだ」と、このような内容でありました。
 それでは、こうした内容をもとにして、目標達成のためのメンタルトレーニングについて、スポーツを例に挙げもう少し考えてみましょう。
 あなたはどんな選手になりたいですか?
 京都の大会で1番?
 全国で1番?
 それとも世界の舞台で活躍したいでしょうか。
 もう少し身近なところで言うと、本番の試合で実力を十分に発揮していますか?
 日々のトレーニングは何も考えず、言われたことだけを行っていませんか?
 特に高校3年生は高校生活最後の大会に向けて、あなたはどのように毎日を過ごしていますか?
 今やっていることが明日はどうなっているでしょうか。
 この先、1週間後、1ヵ月後、1年後はどうなっているのでしょうか。
 中々、すぐに答えられる人は少ないでしょう。多くの人は夢があっても具体的に何をしたら良いかまでは想像がつかないかもしれません。こういうとき、自分の思い描く夢を叶えるための具体的な目標設定の方法やそれを実行するためのメンタル面強化を行うのが、メンタルトレーニングです。
 それは、単純に試合に勝つことだけを目的にしているわけではありません。一人の人間としてどのように自分が成長していきたいか、自分で考え、目標を持ち、それに向かって様々なトレーニングや困難を克服していくためです。
 メンタルトレーニングは、メンタル面を強化するトレーニングです。では、メンタル面とは、どのようなことでしょうか?スポーツの世界において、「心・技・体」とよく言いますが、この3つのバランスが重要と言われています。メンタル面とは、これの「心」の部分を指しています。
 〇心…精神、感情といったメンタル面、精神面
 〇技…戦術、作戦といった技術面
 〇体…体力、コンディションといった身体面
 あなたは、この3つのバランスが取れていますか?
 技・体は、毎日トレーニングしている人が多いと思います。しかし、心をトレーニングしているという人は少ないと思います。スポーツにおいて、技術、体力面の強化は絶対に必要ですが、これだけでは、勝負に勝つことは難しいです。本当の実力を獲得するためには、心技体それぞれ、バランスよくトレーニングする必要があります。だから、メンタルトレーニングでの、この「心」の部分のトレーニングが大切なのです。
 では、「心」の部分をどのようにトレーニングするのか? それこそ幼稚だと思うかもしれませんが、たとえば「おはよう」のあいさつを元気よく言ってみることです。実はこうしたことがメンタルトレーニングの第一歩なのです。一度、試してみてください。
 ①小さい声で「おはよう」
 ②少し大きい声で「おはよう」
 ③笑顔で大きな声で「おはよう」
 どうでしょうか?それぞれの「おはよう」はどれが気持ち良いでしょうか。声の出し方で、気持ちがまったく違うことが実感できるのではないでしょうか。
 つまり、三つ目の笑顔で大きな声で「おはよう」が一番明るく、楽しい気分になると思います。
 このように普段何気なく行っている、あいさつの仕方一つで気持ちを切り替えることができるのです。これが、メンタルトレーニングの呼吸方法や心の準備といった集中力を身に着けるための方法の一つです。
 あなたは、家族や仲間、周りの人に対し元気よく「おはよう!」と言っていますか?
朝食の際、「いただきます!今日も朝食準備してくれてありがとう!」といえますか?
 高校生ともなると少し恥ずかしいかもしれませんが、これが、いつでもプラス思考でいられるための原点とも言えます。日々の生活の中でどんなときもプラス思考になる会話や言葉遣いに、自信のある行動や表情をするよう心がけることが本当に大切なのです。ぜひ、家庭でも学校でも、今日からやってみてください。
 どうぞみなさん、常に目的を考えるという習慣を身につけて、その目的・目標をしっかり持ち、そこから逆算をして計画を立てる。短いスパンで計画を立てて、一日一日を大切に過ごし、将来に向けたイメージを育ててください。
 ご本尊であります、阿弥陀如来(南無阿弥陀仏)は、常に私たちを照らしてくださっています。そんな中で、私たちは心の持ち方、感情を落ち着け、情緒を常に安定させ、そんな、心のありようを意識して「メンタル」を磨く学校生活を送ってください。
 今年度の始まりにあたり、このことをお願いして、式辞といたします。