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平成25(2013)年度 入学式(高校) 学校長式辞 2013年04月08日(月)15時12分

平成25(2013)年度 龍谷大学付属平安高等学校 入学式

学校長式辞

 春爛漫の校庭に陽光があふれる今日の佳き日、龍谷大学付属平安高等学校の平成25(2013)年度入学式を挙行いたしましたところ、浄土真宗本願寺派総長、龍谷大学学長、法人理事・評議員の先生方をはじめ、学園同窓会、平安会の役員の方々、多数のご来賓のご臨席を賜り、理事長とともに衷心より御礼を申し上げます。新入生522名のみなさん、龍谷大学付属平安高等学校へのご入学、おめでとうございます。新入生の保護者のみなさま、ご子女の晴のご入学を心よりお祝い申し上げます。誠におめでとうございます。
 さて、ちょうど二年と一ヶ月前の3月11日、あの未曾有の大震災が起きました。時間とともに記憶から消えつつありますが、私たちはこのことを決して忘れることなく心に刻んでおかなければなりません。そして、今こうして今日のこの日が迎えられたことを、心から「ありがたい」と感謝いたしたいと思います。
 それでは、私の式辞はちょうど本校が龍谷大学付属となりました2008年大晦日の紅白歌合戦に出場されました、みなさんがよくご存じのアンジェラ・アキさんの「手紙 ~拝啓 十五の君へ~」から、お話しさせていただきます。
 「拝啓 この手紙読んでいるあなたは どこで何をしているのだろう」で始まる歌詞は、「今 負けそうで 泣きそうで 消えてしまいそうな僕は、誰の言葉を信じて歩けばいいの?」と質問され、「拝啓 ありがとう 十五のあなたに伝えたい事があるのです」と続き、「今 負けないで 泣かないで 消えてしまいそうなときは、自分の声を信じ歩けばいいの」と答えが述べられています。
 そして、「大人の僕も傷ついて眠れない夜はあるけど、苦(にが)くて甘い今を生きている、人生のすべてに意味があるから 恐れずにあなたの夢を育てて、Keep on beliebing」信じ続けて、「いつの時代も悲しみを避けては通れないけれど、笑顔を見せて 今を生きていこう、今を生きていこう ~ 拝啓 この手紙読んでいるあなたが、幸せなことを願います」と励ましのエールを送ってくれています。ご本人のコメントによると、10代の頃「30歳の自分」に宛てて書いた未来の自分への手紙が元になっているとのことです。
 本校は、今年で創立138年目を迎えます。その長い歴史の中で時代に合わせて様々に改革を進めてきましたが、いくら時代が変化しようと、基本となる建学の精神に基づいた、こころのあり方の教育は変わっていません。昨年の四月、EQという言葉を打ち出しました。
 みなさんはIQをよくご存じだと思います。「知能指数」ですね。しかし、IQのように数字では表せない大切なものがあります。それがEQなのです。EQとは「こころの知能指数」のことで、EQのEは英語のEmotionalで“情緒”や“感情”と訳されております。つまり“こころ”のことです。
 EQとは、現代社会を生きる力の指数であると言われています。私はこのEQを育てることが、仏教的なものの見方ができる人づくりだと考えているのです。心を一本の木に例えると、葉や花は夢の実現や体力・学力の向上、それを支える枝は知育と体育、そしてその枝に栄養を運ぶ動脈は人間力です。そして、幹を育てる根から吸収されるすべての栄養源が『EQ』。つまり「こころの知性」であり、我々が行う宗育なのです。一般的に『徳育』と呼ばれる心の教育を、龍谷大平安では『宗育』と呼びます。それは、本校の宗教的情操教育が、仏教精神をもとにした宗教的な視点と、素直に人の話を聞く姿勢を大切にするからです。
 しかし、この『建学の精神』は中学校を卒業したばかりのみなさんには、理解が難しい場合もあります。そこで本校では、これを『三つの大切』という言葉に置き換え、ことば・じかん・いのちを大切にすることを説いています。ことばは心の表れであり、素直な心と謙虚な心を持つことが大切。じかんは刻々と流れる無常なものであるから、今日すべきことを明日に延ばしてはいけません。今という時間を大切にすること。いのちは仏さまからの預かりもの、親や先生にいつまでも頼ること無く、自分で磨く時期が今なのだということをこころの教育に据えているのです。
 先ほど紹介しました励ましのエール「今 負けないで 泣かないで 消えてしまいそうなときは、自分の声を信じ歩けばいいの」は、正に「自分を信じ歩けばいいの」の裏付けは、EQを磨き、人間力を高めることであります。その人間力を磨けば、学力向上に繋がると確信しております。
 我々教職員は、みなさんに叱咤激励の声を常にかけ続け、特に担任は、みなさん一人一人と膝をつき合わせ対峙し、しっかりと関わっていきます。みなさんはEQを高めるべく心豊かな学園生活を送られることをお願いしまして、私の式辞といたします。