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涅槃会 2017年02月09日(木)15時27分

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本日は涅槃会がありました。涅槃会とは、80歳でこの世を去られたお釈迦さまを偲び、またお釈迦さまの説かれた教えに耳を傾ける行事です。本日は、ご講師として、浄土真宗本願寺派布教使の利國 敦之先生にお越しいただきました。

私たちは一般に「涅槃」と聞くと、お釈迦さまが亡くなられたとだけ思いがちですが、「涅槃」とは単に死を意味するものではありません。釈迦族の王子としてお生まれになったお釈迦さまは、人間の苦しみの原因は何かを見つけるため修行に出られ、苦しみは外にあるのではなく、「自分の内にある」と悟りを開かれます。しかし、その煩悩を退け、苦しみのない生活を送っても、それは精神の苦しみが取り除かれただけで、肉体の苦しみは残るということに他なりません。「涅槃」というのは、その肉体の苦しみからも解放された悟りの境地でもあるのです。チュンダが出してくれた食事が原因で体調を崩し、最期の時を迎えたお釈迦さまは、「自分は悟りの境地に行くのだから、チュンダを責めないで欲しい、恨まないで欲しい」と弟子に言い遺されます。そして悲しむ弟子たちに、「生あるもの、形あるもの、存在するものは全て崩される。自分もその例外ではない。しかし、自分亡き後も、今まで説いてきた教えを拠りどころとして欲しい。自分の教えは自分そのものである。」ともおっしゃいました。

利國先生は幼い頃にお父様をご病気で亡くされました。まだ幼かった利國先生は、ご生前のお父様に向かって「いつよくなるの?」とよく聞かれていたそうです。すると、息子を心配させまいと笑顔で「いつかよくなるよ。」と答えられていたそうですが、ある日、「もう治らないかもしれない。」とおっしゃったそうです。利國先生はその言葉を聞いて不安に思われたそうですが、同時に、「万が一治らなくても、南無阿弥陀仏の仏様となって一緒にいるよ。」とも言われたそうです。南無阿弥陀仏の仏様とは、みんなを助けたいと願っている仏様であり、こちらから助けて欲しいとお願いしなくても、すでに私たちを助けてくださっている仏様です。利國先生は、このお父様の言葉を心に留め、お父様が亡くなられた後も、「死んでいなくなった。もう二度と会えない。」と悲しみに暮れるのではなく、「南無阿弥陀仏」と唱えると、お父様と一緒にいられると感じられたそうです。

お釈迦さまも利國先生のお父様も、「自分が死んで肉体がなくなっても、自分の教えはなくならない。自分はいつも皆の心の中に生き続ける。」と教えて下さったのではないでしょうか。私たちはそのような方のみ教えを通して、その方たちに出会わせて頂いています。本日の涅槃会は、約2500年の時を経て、お釈迦さまとお釈迦さまのみ教えに出会わせて頂く機会でした。みなさんも、お釈迦さまのみ教えに感謝するとともに、身近にいる大切な人の大切な思いにも出会い、それを心の拠りどころとしてください。