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「花まつり」と甘茶配布について 2020年05月08日(金)09時00分

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◇「花まつり」と甘茶配布について
 
 本校では毎年5月8日に花まつりを行っています。花まつりとは、仏教の開祖であるお釈迦さまの誕生日を祝う行事です。
 休校中で、みなさんと共にお祝いをすることができませんでしたが、出勤している教職員のみでお参りを致しました。
 例年通り甘茶を配布します(5/11発送予定)ので、自宅で家族の方と共に、お釈迦さまのお誕生を祝いながら、甘茶をお楽しみください。また、このような不安な時期だからこそ、いつもよりも仏教に耳を傾けませんか。
 新入生は、なぜ花まつりと言われるのか、またなぜ甘茶なのか、疑問に思うかもしれませんが、以下の「花まつりによせて」を読んでみてください。
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◇「花まつり」によせて

 お釈迦さまは今から約2500年前、紀元前5、6世紀頃インドのヒマラヤのふもとルンビニーの花園で釈迦族の王子として誕生されました。父はスッドーダナ王(浄飯王)、母はマーヤー夫人(摩耶)といいます。ある日母のマーヤーが出産のための里帰りの途中、ルンビニーの花園で休憩されたときにお釈迦さまは誕生されたといわれています。
 お釈迦さまの誕生には伝説があります。ある夜、マーヤー夫人は六本の牙を持つ白い大きな象が自分の胎内に宿る夢を見ました。そして、マーヤー夫人はその後すぐに身ごもられました。妊娠されたマーヤー夫人は、
出産のために実家へ里帰りをするための旅の途中、ルンビニー園で休息をとられました。そのとき、そこに咲くアショーカの花に右手をふれたとき、マーヤー夫人の右脇からお釈迦さまが誕生されたと伝えられます。
 男子の誕生によって後継者をえたスッドーダナ王は歓喜しましたが、マーヤー夫人はお釈迦さまを生んで七日で亡くなってしまいました。生まれてすぐに母を失ったお釈迦さまを養育したのが、父スッドーダナ王が後妻としてむかえたマハーパジャーパティーでした。彼女はマーヤーの妹にあたる人物です。実母と
かわらない愛をこめてお釈迦さまを育てられたマハーパジャーパティーは、後にお釈迦さまがさとりをひらき「仏陀」になられたとき、懇願して出家し、教団初の尼僧となるのです。
 さて、みなさんも知っていると思いますが、お釈迦さまが゙誕生されたときに七歩歩まれ「天上天下唯我独尊」(天にも地にもただわれひとり尊い)と宣言されたことは有名な話です。「唯我独尊」という言葉は「この世で自分が一番偉い」という独善的な意味ではありません。この言葉は「世界にたった一つしかないわたしたちの存在は(唯我)、それぞれかけがえのない尊いいのちである(独尊)」ということであります。したがって、私たちは他に代わることの出来ないかけがえのないいのちを生きています。このように、お釈迦さまの説かれた教えを大切にしながら日々の生活を送っていただきたいと思います。
 お釈迦さまが誕生された日は4月8日とされ、灌仏会(かんぶつえ)、花まつりなどの名で各地で仏事が営まれています。ルンビニーの花園になぞられた「花御堂」(はなみどう)とよばれる花でかざった小堂に灌仏盤という水盤の上に安置した誕生仏の像の頭上に柄杓で甘茶を注ぎます。
 本来であれば、「花まつり」は毎年お釈迦さまが誕生されたとされる4月8日に行うべきですが、平安では5月に行うのは、4月は入学式などの行事と重なるためであることをお知りおき願います。 合掌