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2020(令和2)年6月 今月の聖語・言葉について 2020年06月01日(月)09時00分

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今月の聖語・言葉を紹介します。

今月の聖語 ・・・ 正門聖語板
今月の言葉 ・・・ 教室掲示

□今月の聖語
悪性(あくしょう)さらにやめがたし 心は蛇蝎(じゃかつ)の如くなり    『正像末和讃』

今月の聖語は、親鸞聖人の言葉です。私の悪の本性はどうにもならず、心はヘビやサソリと変わらないという意味です。その悪の本性とは「煩悩」のことであり、ヘビやサソリに毒があるように、私たちも煩悩という毒を持ち合わせているのです。中でも私たちを苦しめるのが、貪欲(とんよく)・瞋恚(しんに)・愚痴(ぐち)という「三毒の煩悩」です。
この度の新型コロナウィルス感染拡大にともない、私たちの心に潜む「三毒の煩悩」が見え隠れしていたように思います。貪欲とは、貪(むさぼ)るような欲のことです。世間では、マスクを手に入れようと、多くの人がマスクを買い込み、マスク不足にまで陥りました。次に、瞋恚とは、怒りの心のことです。電車内でマスクをしていない人が咳をして、まわりがそれに腹を立て喧嘩になるといったニュースが流れました。最後の愚痴とは、物事の真実を知らないことです。「トイレットペーパーがなくなる」というデマがSNSで拡散され、多くの人がその情報に惑わされてしまいました。これらの煩悩を断ち切ることは非常に難しいことですが、自らを見つめ直すことはできるのではないでしょうか。


□今月の言葉
あたかも、母が己の独り子を命をかけても護るように、そのように一切の生きとし生けるものどもに対しても、無量の慈しみのこころを起こすべし。     『スッタニパータ』

六月は梅雨の時期です。毎日雨の日が続くと、嫌な気分になります。しかし、私たち人間はもちろんのこと、外にいる植物や虫たちにとっては、雨の水は欠かせないいのちの源です。インドでは、長く続く梅雨の間、お釈迦さまとその弟子たちは、一ヵ所にこもって修行に専念されました。なぜなら、外へ出歩くと、植物や虫を踏みつけて殺生(せっしょう)してしまう可能性があったからです。この期間を「安居(あんご)」と言うのですが、私たちにとっては、不要不急の外出を控える「ステイホーム」と似ているように思えます。これは東京都を中心に、全国各地で徹底された新型コロナウィルス感染防止策です。つまり、私たちが家にいることが、自分のいのちだけでなく、家族や大切な人のいのちを守ることにつながるということです。一人ひとりが相手を思いやり、まわりの人に対して慈しみのこころを起こす。そのことを考えながら、このお釈迦さまの言葉を味わってみましょう。
合掌