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2020(令和2)年10月 今月の聖語・言葉について 2020年10月01日(木)09時00分

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今月の聖語・言葉を紹介します。

今月の聖語 ・・・ 正門聖語板
今月の言葉 ・・・ 教室掲示

□今月の聖語
薬あればとて 毒をこのむべからず  親鸞聖人

 今月の聖語は、親鸞聖人が京都から常陸国(茨城県)に住む弟子に向けて書かれた手紙に出てくる内容のものです。現代語訳すると、「いくら薬があるからと言って好んで毒を飲むべきではありません」ということです。これは、阿弥陀仏の救いは、悪を犯してもさまたげにならないからといって、わざと悪を造ること勧める誤った理解に対して指摘されているものです。つまり、阿弥陀仏の救いを「薬」に、わざと悪を造ることを「毒」に譬えています。
 親鸞聖人は阿弥陀仏に照らされ、自己を深く内省されました。そして、自らを煩悩具足の愚か者(悪人)だとして「愚禿(ぐとく)親鸞」と名のられました。このように自身のあり方を深く内省し、恥じる姿と阿弥陀仏に甘えてわざと悪を造るあり方には大きな違いがあります。
 みなさんの日常にも置き換え考えてみてください。心に甘えが生じ、「薬」があるから大丈夫だと安心し「毒」を好んでいるようなことはないでしょうか。親鸞聖人のお言葉に当てはめて一度自分自身の心を振り返ってみましょう。


□今月の言葉
見えないところがほんものにならないと 見えるところもほんものにならない  東井義雄

 この言葉は、人間の内面的で、姿・形として目には見えない「心のあり方」の大切さについて述べられているように感じます。
 今から約9年前になりますが、東日本大震災直後にテレビで流れた公共広告機構のコマーシャルで紹介されていた詩を思い出しました。宮澤章二氏『行為の意味』に掲載されているものです。
  「こころ」はだれにも見えないけれど 「こころづかい」は見える
  「思い」は見えないけれど 「思いやり」はだれにでも見える
その人の「心のあり方」が、言葉や行動に表れるからこそ、相手に伝わるものがあり、心が動かされるのだと思います。逆を言えば、上辺だけ飾ったような言葉や行動では、なかなか相手には響かないものだと感じます。
 スポーツの世界においても大切にすべきものとして「心」・「技」・「体」という言葉が用いられ、この3つのバランスが重要であることはよく耳にします。ここでも「技」・「体」より先に「心」が語られています。まず「心」ありきなのですね。
 最後に今回紹介した東井義雄さんの言葉ですが、「見えないところが見えるところを支えている」とも述べられています。この言葉の意味も併せて味わってみてほしいと思います。  合掌