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~緊急事態宣言解除を受けて~ 2021年10月01日(金)09時00分

政府は、「マスクをしましょう」「三密(密閉・密集・密接)を避けましょう」「不要不急の外出をしないようにしましょう」と行動の自粛を呼びかけています。海外では、強い自粛要請をしている地域がありますが、日本では法律上、強制力のある行動の制限ができず、個々の意識に委(ゆだ)ねられています。緊急事態宣言下において、多くの人が外出を自粛している中、一部の無自覚な人の行動から感染が広がるケースもみられました。新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐために一番大切なことは、私たち一人ひとりの自覚と責任です。

 仏教の根本をなす教えに「縁起(えんぎ)の理(ことわり)」があります。たとえば、チューリップの花は、その球根から咲きます。球根が原因(因)で花は結果(果)です。しかし、球根だけでは花は咲かず、温度・土質・水分・肥料・日光・人間の細心の手入れなど、さまざまな条件(縁)が球根にはたらいて花は咲くのです。このように、すべてのものには、必ずそれを生んだ因と縁とがあり、それを因縁生起(いんねんしょうき)=縁起というのです。現実には、因と縁と果とが複雑に関係しあい影響しあって、もちつもたれつの状態をつくっています。日常、よく「縁起が良い・悪い」という言葉を聞きます。吉凶のきざしという意味なのでしょうが、本来は、他の多くのものの力、恵み、お蔭(かげ)を受けて、私たちは生かされているという、仏教の基本的な教えなのです。
(本願寺出版社「くらしの仏教語豆事典」より)
 
このように、すべてが関係しあっているからこそ、個人の行いが周囲へと影響するのです。自他を区別して、自己中心的な行動に出るのではなく、仏さまの教えである「縁起の理」から、自他の関係性やつながりを大切にする過ごし方に気づかされます。
 緊急事態宣言は解除されましたが、非常事態の今だからこそ、あらゆるものが縁起によって成り立っているという視点に立ち、自他共に心豊かに生きることのできる社会を実現しましょう。そして、他者への思いやり(利他)の心をもって学校生活を送りましょう。

平安の願い ~三つの大切~ 「ことば・じかん・いのちを大切に」

宗教教育係