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2022(令和4)年5月 御命日法要について 2022年05月17日(火)08時00分

私たちのちかい  一、自分の殻に閉じこもることなく
           穏やかな顔と優しい言葉を大切にします
           微笑(ほほえ)み語りかける仏さまのように
         一、むさぼり、いかり、おろかさに流されず
           しなやかな心と振る舞いを心がけます
           心安らかな仏さまのように
         一、自分だけを大事にすることなく
           人と喜びや悲しみを分かち合います
           慈悲に満ちみちた仏さまのように
         一、生かされていることに気づき
           日々に精一杯つとめます
          人びとの救いに尽くす仏さまのように


帰依し合掌し礼したてまつれ 『観経疏』
                     
生活の中で育まれること  川添泰信(龍谷大学名誉教授)

平等の作法
日常生活の挨拶の仕方の一つに握手があります。近年では、日本でもごく日常的に行われているようにも感じます。新型コロナウイルスの感染拡大で、握手代わりに、肘(ひじ)と肘をあわせる様子がよくテレビに映っています。握手は、「武器は持っていません」「友好的ですよ」という意味合いで始まったとよく
聞きます。握手は古代からあるそうですが、今日のように浸透したのはクエーカーの影響だそうです。森本あんりさんの著書に「今日、全世界で一般的になった『握手』は、クエーカーが始めた平等の新しい作法だった」とあります。17 世紀半ば、イギリスで起こったキリスト教のピューリタン系の一派であるクエーカーは、人は平等であるという宗教的教えから、誰と挨拶するにも、握手による作法を実践したそうです。当時の貴族社会においては、女性は右足を後ろに引き、膝を少し折り曲げる所作をするのが習慣だったそうです。今日では日常的な握手ですが、クエーカー教徒から握手の挨拶を求められた当時の貴族はさぞ驚いたのではないかと想像します。

手を合わせる
両手を胸の前に合わせる合掌はどうでしょうか。合掌は、仏教が起きる以前のインドを起源とした敬礼の所作で、もともと挨拶として行われていました。もちろん、仏教では、仏さまなどを礼拝する際に用いていますが、現代の日本でも、仏さまに手を合わす以外に日常生活にも浸透しています。それが食事の前後に行う合掌です。生活の中で手を合わすこの習慣はすばらしいものだと思います。ただ、学校給食の時の合掌を止めさせてほしいという要望があったという報道に驚いていましたが、今は、外食の際に周りを見ると合掌する人を余り見かけません。家庭の中で、合掌して食事をする習慣が希薄になっているのでしょうか。食事は、私たちが生きていく上での基本です。自身の命を紡(つむ)ぐ食べ物に、感謝の念を持つのは大いに意味のあることです。そして、私たち仏教徒にとって、合掌は仏への帰依とともに、生かされて生きる感謝の表現であろうと思います。その思いは、知的な理解だけではなく、日々の生活によって、育まれるのではないかと思います。

「2022(令和 4)年5月 1 日(日曜日)本願寺新報『いのちの栞』より」


〇食前のことば
「多くのいのちと、みなさまのおかげにより、このごちそうをめぐまれました。」
「深くご恩を喜び、ありがたくいただきます。」
〇食後のことば
「尊いおめぐみをおいしくいただき、ますます御恩報謝につとめます。」
「おかげで、ごちそうさまでした。」

食前のことば解説
わたしたちは、食べ物をいただくことで、毎日を過ごしています。この食事には多くのいのちをいただいています。またこの食事がわたしの口に届くまでには、多くの方のご苦労もありました。阿弥陀さまは、わたしたちが、多くのいのちと、みなさまのおかげによって、初めて生きることができているのだと、明らかにしてくださいました。このご恩を思い、お食事を大切にいただきましょう。

食後のことば解説
お食事をいただいたわたしたちは、尊いおめぐみをいただきました。多くのいのちと食事を用意してくださった方々のご苦労を思い、そのおかげでいのちをいただいています。いまここにいのちあるわたしを、必ず救うと願い、支えてくださっているのが阿弥陀さまです。このご恩を思い、阿弥陀さまの願いに応えようと、精一杯に生きていきましょう。


5月御命日法要
○ 日時 5月17日(火)16時~
○ 場所 礼拝堂
○ 勤行 正信念仏偈
○ 法話 鴬地(おおち)清登 師(浄土真宗本願寺派布教使)