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地獄・極楽 2020年08月28日(金)17時08分

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 山田無文さんの本の中で読んだ、「地獄・極楽」の話を思い出しました。
 ある人が、夢の中で「地獄」に行ったそうです。地獄の住民は、みなゲッソリ痩せて、目をギョロギョロさせ、口は耳もとまで裂けています。見るからに、もの凄い形相です。食べ物はないのかなあ、と思って見ると、丸テーブルの上に、山海の珍味が山のように積まれています。そして、左手は椅子にくくりつけられ、右手には長さが一メートルぐらいのスプーンがくくりつけてあります。みんなはそのスプーンで、われ先にごちそうをすくって食べようとするけれど、スプーンが長すぎるために食べ物は口に入らず、床に落ちたり壁にかかったりします。それでみんな殺気だって、争っています。
 つぎに「極楽」に行きました。すると、みんなよく肥えて、色艶もよく、和気あいあいです。室内の状況は、やはり地獄と同じであって、丸テーブルの上にはごちそうがあり、左手は椅子にくくられ、右手には一メートルぐらいの長いスプーンがくくりつけてあります。極楽の住人たちは、その長いスプーンでごちそうをすくっては、向こう側の人たちに、「おいしいですよ。さあ、召しあがってください。」と言って、スプーンを差し出します。向こう側の人たちは、「ありがとうございます。とてもおいしいですよ。」と言っては、スプーンでごちそうをすくい、今度は逆にこちら側の人たちに差し出します。そういうわけで、みんな満腹し、和気あいあいたる状況であった、ということです。
 自分のことだけを考えているために、周囲と争い苦しんでいる人。一方は、同じ状況に置かれていても、お互いを助け合い、楽しく過ごしている人。どちらが幸せかは、いうまでもありません。私たちは余裕がなくなると、地獄の罪人のように、自分のことだけで頭がいっぱいになってしまうことはないでしょうか。そんなとき、ちょっと周りのことを思いやってみると、お互い協力できたり、助け合うことができたりするものですよ。