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おばあの教え 2020年11月21日(土)14時00分

 「なんくるないさー」という沖縄の言葉を、聞いたことがあるでしょうか。直訳すると「なんとかなるさ」という意味ですが、実は「なんくるないさー」に含まれている意味は、もっと深いのです。「くよくよして自分を縛らなければ、おのずと道は開けていくものだよ。だから、もう心配しないでね」という意味がこめられているのです。
 例えば、何か悩んでいたり、苦しんでいたりする人がいると、ついそばにいる人は、「がんばれ!」と言ってしまうことがあります。でも、悩んでいる人にしてみると、もう十分がんばっているのですから、かえってそれがプレッシャーになることもあります。それよりも、「まあまあ、そんなに心配しないで。きっと、なんとかなるよ。大丈夫だからね」と言われるほうが、ずっと心がラクになり、ホッとしますよね。このような思いで、心をラクにして生きていくことを「なんくる精神」というのです。
 「なんくる精神」は、沖縄の人々が、自分たちがくじけないで生きていくために生み出した知恵だそうです。沖縄では、支配者が頻繁に代わりました。そのたびに、人々は、ライフスタイルの変更を余儀なくされてきたのです。また、台風の被害も多く、せっかく丹精こめて育てた「さとうきび畑」が、たった一夜にして全滅してしまう…ということもあります。でも、そういったトラブルを、いちいち深刻にとらえていては、生きてはいけないのです。いわば、「なんくる精神」は、理不尽な現実の中で、なんとか心をおさめ、前向きに生きていくための琉球人の知恵なのだそうです。
人は生きていれば、自分の思い通りにならないことが、たくさん起こります。自分ではどうにもできないようなトラブルが起きたり、他人から理不尽なことを言われたりすることもあるでしょう。だからといって、毎日くよくよしてもいられないのです。それに、「心配なこと」をいつも考えたり、「不安」をいつも感じたりしていると、「心配や不安の波動」を出すことになり、ますます、そういった事態を引き寄せることにもなります。そのためにも、心をラクで、おだやかな状態にしておくことが大事なのです。
 心が「心配」や「不安」で占領されそうになったら、「なんくるないさー」と大きな声で言ってみませんか。何か突発的なトラブルやアクシデントが起こったときも、すぐに「なんくるないさ!」と大きな声で言えば、本当になんとかなるような解決策が出てくるかもしれませんよ。